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「正論に頼らず、嫌われる勇気をもつ」仕事と育児を両立するために心がけたいこと

「一億総活躍社会の推進」が叫ばれ、4月から女性活躍推進法が施行されることもあるせいか、最近ネットでは女性のライフスタイルについての記事が多く見られます。

(c) llhedgehogll – Fotolia.com

たとえば、保育園に入れない「保活」問題、某中学校校長先生の「女性に最も大切なのはふたり以上子どもを産むこと」といった発言や、女優の山口智子さんが雑誌のインタビューで語った「わたしはずっと、子どもを産んで育てる人生ではない、別の人生を望んでいました。今でも、一片の後悔もないです。人それぞれ、いろんな選択を持っていいはず」という意見に対する賛否両論の反響などです。

なかでもわたしが一番印象に残ったのは、「仕事をしながら子どもを持つ女性に対する周囲の反応」についての記事です。

妊娠を上司に告げたとたんに嫌な顔をされた、復職したら同僚女性の仕事上の協力を得ることができなかった、周囲との関係が悪化した、先輩女性から「もっと仕事できないの。自分のときはこれくらい頑張れた」などとプレッシャーをかけられるなど…。

わたし自身27歳で結婚したときは、子どもを持ちたいとはまったく思っていませんでした。

しかし、35歳を過ぎたころ突然子どもが欲しくなり、高齢出産の後フルタイム社員で復職し、仕事を続けた経験がありますので、どの立場の方のお気持ちも理解できます。

女性の社会進出を後押しすることに対し、現在はさまざまな法整備がなされてきていますし、それぞれの会社でも出産後の社員復職をサポートする人事制度などが取り入れられてきていると思います。

けれど、仕事と育児の両立は、個別の事情が違いすぎるゆえ、環境を整えたからといってもすぐに解決できる問題ではありませんよね。

今までわたしがカウンセリングさせていただいたご相談でも「育児に対する職場の無理解に腹が立つ」「育児を盾に仕事に手を抜く人が許せない」などといった、相反する内容のものが多くあります。

■どんな相手にも“好感を持たれる努力”をする
子どもを持つ、持たないについては個人の考え方やご事情もありますが、もし出産しても仕事を続けたい! と思われるのであれば、私がおすすめすることはひとつ。

まず出産前から「とにかく、どんなに苦手な相手がいても、職場では好感を持たれる努力をしておく」こと。

もちろん、「この人がいなければ困る! 出産しても戻ってきてほしい」と周囲に言わせるくらい、現在の仕事のスキルを上げることも大事だとは思います。

しかし、今までいろいろな職場の、さまざまな立場の方のご相談を伺ってみますと、本人の仕事スキルよりも「この人のサポートならしてあげよう」と思ってもらえる人間関係を、周囲と築けていた方のほうが、スムーズに復職できているように感じます。

たとえば自分の机をふくついでに、周りの机もふいてあげる、コーヒーを買いに行くついでに周りの人にも「買ってきましょうか」と声をかける…など。

ほんとにちいさな、ささいなことでいいので「いい人だな」と思われる気配り=「いい人貯金」を続けておきましょう。これをコツコツとためておき、あなたの応援者を増やしておくのです。

■正論に頼らず、嫌われる勇気をもつ
出産後復職したあとは、「正論に頼らない」で、「貢献する姿勢と嫌われる勇気を持つ」ことを心に留めておくことをおすすめします。

子どもを産むことは、将来の日本のためにプラスになることは確かです。

出産しても仕事を続けることができるのは、労働者としての権利です。

それは正論なのですが、周囲が非協力的な視線を向け始めるのは「子どもがいるから●●なのは当然」という雰囲気が強くなってきたときだと思います。

たとえば「17時から●●の勉強会がありますが出欠は?」と聞かれたとき「すみません、子どもがいるので欠席します(夕方からなんて出られるワケないでしょ)」と答えても自然でしょう。

しかし、こういったやりとりが日常積もり積もると「あ、また子どもね…」というようなミゾができがちです。

行動の結果は同じでも「すみません、17:30には会社を出なくてはならないのですが、30分の出席でも大丈夫でしょうか?」と答えたほうが「子どもがいることを振りかざしている」という感じが薄くなります。

「子どもがいるのは事実だから仕方ないのに、なぜそんなに気を使わなくてはならないの!」というお気持ちも十分理解できます。

しかし、人間関係においては、正論が最適解ではありません。

オフィスでは極力「子どもが…」というフレーズを控えたほうが余計な摩擦を避けられ、育児に対する理解も得やすくなると私は思います。

■「ここまではできる」というラインを明確にする
育児は想定外な出来事の連続であり、すぐに対応しなくてはならないことも多いですよね。

よほどの特別なスキルがあるなら別ですが、ほとんどの仕事は、時間をかければそれなりの成果が出ますから(長時間働くことがいいということではありませんが)労働時間に制限のある育児中は、どうしても仕事のパフォーマンスが落ちてしまうことが多いでしょう。

しかも親が忙しい時に限って、なぜか子供が病気になるということは本当によく起こります。「やっぱり育児と仕事の両立はキツイなー」と気持ちが折れることもたびたびあると思います。

そのようなときは限られた時間のなかで、精いっぱい仕事に貢献できるよう工夫し努力する姿を見せましょう。

とはいえ、自分自身が倒れてしまっては大変。

そのためにも仕事をひとりで抱え込まず、必ず上司や同僚と仕事の進捗状況を細かくシェアし、「ここまではできる」というラインを明確にすることが大切です。

■「貢献と選択」のバランス
アドラー心理学をわかりやすく解説してある「嫌われる勇気」という本が最近売れていますが、アドラーが主張しているのは、以下のようなことです。

・自分は他人の期待を満たすために生きているのではないし、他人も自分の期待を満たすために生きているのではない

・自分に最善な道を選択することが自分の課題であり、それに対する評価は他人の課題

・人は「共同体の中に居場所がある」という感覚が持てれば対人関係の悩みが解消する。居場所があるという実感は、他者への貢献で持つことができる

育児しながら仕事を続けるということは、この「貢献と選択」のバランスをその都度どうとっていくかに尽きる気がします。

「出産後、どのように職場に復帰できるか」は、あなたがそれまでどのような姿勢で仕事に向かい、どれくらい仕事で成果を上げ、どんな人間関係を築き、どれくらい周囲の信頼を集めていたかをはかるバロメーターになると言えます。

充実したワーキングマザー生活を送れるように、今から人間力を磨いておくことも大切ですね。
 
 
(佐藤栄子)