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冬の温度落差に注意!脳卒中や心筋梗塞につながる不整脈にも。正しい服装の選び方

冬の日常には、暖房が効いたオフィスや家からの外出時、運動の後など、環境温や発汗への衣服対応が難しく、体を冷やしてしまう場面が多くなります。冷えの専門家として活躍されている医学博士の前田先生によると、日常的に寒暖差を多く経験する冬場は危険な季節。環境温の変化による「温度落差」で血管が収縮し血圧が急激に上昇することで、さまざまな疾患を引き起こ すリスクがあるとのこと。

そこで、冬によくある、体を急激に冷やしがちなシーンとそのリスク、対策について、前田 先生監修の「落差指数」をもとにご紹介します。

 

国際医療福祉大学大学院 リハビリテーション学分野 教授 前田 眞治(まえだ まさはる)教授 

プロフィール 1978年に北里大学大学院医学部博士課程を終了し、同年より神奈川県総合リハビリテーションセンターに勤務。1998 年より、北里大学東病院リハビリテーション科科長として勤務。2005年より現職。リハビリテーション、脳卒中の専門医。

 

冬の日常に潜む危ないシーン。様々なシチュエーションを再現した実験から判明。

外での洗濯物干しなど、少しの間だからと部屋着のまま屋外に出ることで血管が収縮し血圧の急激な上昇を招きます。最高ランクの「落差指数 レベル3」となり、脳卒中や、心筋梗塞につながる不整脈などにつながる可能性があります。

危険レベル3:洗濯物干しや郵便受けの確認、ゴミ捨てなど、上着を着ず部屋着のまま外に出る

洗濯物干しやゴミ捨てなどの際に、少しの間だからと気にせず、室内での服装のまま屋外へ出てしまう人も多いのではないでしょうか。しかし、このシチュエーションが最もリスクが高いことが判明しました。実際、この実験では血圧が15mmHg以上上昇し、この動作を繰り返すと、脳卒中や不整脈などを引き起こす可能性があるという結果に。

ほんの一瞬の温度変化により15以上も血圧が上昇する、というのは激しい運動をいきなり始めた最初の1分間と同等の血圧上昇になります。少しの間だから大丈夫という意識がリスクを招くということを念頭に入れた、適切な服装選びが大切です。

 

やや危険:オフィスでデスクワークをしていて、そのままの服装で暖房の効いていない建物内を移動/スウェットなどの部屋着のまま家の近所へ出かける/満員電車で上着を脱いでそのまま駅(屋外)のホームに降りる

暖房の効いたオフィスでデスクワークをしていて、お手洗いや屋外に近い建物内をそのままの服装で移動したり、スウェットなどの部屋着のまま家の近所へ出かけたり、満員電車で上着を脱いでそのまま駅(屋外)のホームに降りるシーンは、落差指数レベル2で、動悸や軽い頭痛を起こす可能性があることが判明しました。

 

汗冷えが拍車に:暖房の効いた部屋で家事をし、直後にトイレ掃除や風呂掃除などで暖房の効いていない部屋に移動

暖房の効いた部屋で家事を行い、続けてトイレ掃除や風呂掃除をするシチュエーションでの実験では、寒い部屋への移動後もしばらく血圧が上昇し続けました。これは、移動の際の温度落差に加え、暖かい部屋での運動による発汗が継続的に汗冷えを引き起こし、血圧の上昇にさらに拍車をかけていると言えます。冬だからと汗を気にせずにいると、さらに体を冷やしリスクが高まることが明らかになりました。

 

「少しの間だから」「自分は若いから」は落とし穴。

前田先生は、「少しの間だから」「若いから」は危険と警鐘を鳴らします。

日常的に寒暖差を多く経験する冬場は、危険な季節と言えます。血圧変化は年配の方だけの問題ではなく、現代社会では、生活習慣の乱れによって年齢以上に血管が老化している若者も多く、老若男女を問わず注意が必要であると言えます。

疾患のリスクを軽減し、温度落差 から身を守るには保温効果のある服選びが重要です。また、冬は屋内外ともに乾燥している場所ばかりです。乾燥は血圧上昇の要因のひとつなので、冷えによるリスクに拍車がかかっている環境であることも留意しておかなければなりません。また、急激な温度変化に加え、汗冷えにより寒暖差を体感した数分後にも継続した血圧上昇の可能性があることが本実験により判明しました。今回の実験では、30代の健康な被験者で行った数値を使用していますが、年配の方や生活習慣病の患者さんは、さらに急激な血圧の上昇が予想されます。

「温度落差」から身を守る服装とは? 保温のカギは衣服内の「空気」にあり!

日本女子大学 家政学部 被服学科 多屋 淑子(たや よしこ)教授

1977年お茶の水女子大学大学院家政学研究科被服学専攻修了。 博士(生活工学)。日本大学短期大学部、田中千代学園短期大学を経て、1996年より日本女子大学。 日本学術会議連携会員、国立研究開発法人審議会臨時委員などを務める。生活工学、衣服学の専門家。

 

冬の日常に潜むリスクを軽減するためには、どのような服を着ると良いのでしょうか。秋や春にはアウター、冬にはミドラーとして活躍するフリース、ニット、スウェット、ジャケットのそれぞれで実験したところ、身体と衣服の間の「空気」の性質が身体の冷却に大きな影響を及ぼすということが見えてきました。

つまり、暖かい静止空気層を保つ衣服こそが、さまざまな疾患を引き起こす身体冷却を防いでくれると言えます。

監修者の日本女子大学 家政学部 被服学科 多屋 淑子教授は以下のようにアドバイスしています。

本実験で使用した衣服の中で、フリースは寒冷環境下での皮膚温の低下が小さく、高い保温効果が観察されました。ポリエステル繊維を起毛処理して作られるフリース素材は、体熱で温められた空気を繊維と繊維の間に閉じ込めることのできる構造であることから、身体を暖かく保つ衣服素材として適しています。

さらに、速乾性に優れることから、発汗時には快適さを保つこともできます。触感も柔らかく、軽く、心地よく身体を優しく包むことができ、着心地の良い素材として有用です。

また、フリースは、環境の変化に合わせて着用方法を工夫することにより、いろいろな季節に快適な衣服として着用することができます。たとえば、秋口や春先にはアウターとして活用し、冬には吸湿発熱や吸汗速乾機能のインナーと組み合わせてミドルレイヤーとして使用すると、より高い保温力を発揮することができます。日常生活における環境温の変化が大きい場合の衣服には、体温調節を補助する機能が求められ、そのような時にフリースは有用です。

 

これからもまだ寒さに注意が必要な季節。適切な服装選びをこころがけましょう。

※本件は、体を温かく保つ服装への心がけを推奨するものであり、衣服による疾患リスクの軽減を保証するものではありません。

【温度落差の実験概要】

実施日: 2017年10月31日 被験者: 31歳 女性、35歳 男性の計2名(正常時の血圧が100前後) 実験方法: 冬のさまざまなシチュエーションの環境温に制御した2部屋を移動し、急激な温度変化による血圧の変動を測定。 移動前には座位や運動など生活シーンに合わせたエクササイズを実施。

【衣服の実験概要】

実施日: 2017年10月31日 被験者: 健康な31歳 女性、健康な35歳 男性の計2名 実験方法: 室温25℃・湿度60%に制御した無風の温室に滞在後、室温10℃・湿度40%に制御した無風の寒冷室に移動し て、椅坐位安静状態で8分間滞在。その時の胸部と背部の皮膚温を連続計測。温室滞在時の皮膚温と寒冷室 に入室8分後の皮膚温を比較。

【参考】日常に潜む「温度落差」に注意! 急激な冷えから体を守る、正しい服選びとは? -株式会社ユニクロ

神崎 利奈
コスメライター/ブロガー/イベントレポーター
コスメライター/ブロガー/イベントレポーター
コスメの成分についてまで詳しくなってしまうほどコスメ好き。食や美容、健康のイベントに300件以上参加し、レポートしています。お仕事のご依頼はkanzakirina@gmail.comまで。
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