女性の口臭が深刻に!? 自己ケアだけでは防げない女性の口臭リスクとは
「口臭がひどい」のは酒やタバコをたしなむおじさんの方が多い……そんな固定観念が崩れ去る調査データが明らかとなりました。
ブレス・ハザードプロジェクト<若林健史(日本歯周病学会 理事 専門医・指導医)、歯科医療総合商社である株式会社モリタ(大阪府吹田市 代表取締役社長・森田晴夫)、生体ガス測定システムのパイオニア企業である株式会社タイヨウ(大阪市 代表取締役社長・利川寶)>は、6月4日~10日の「歯と口の健康週間」にあたり、全国47都道府県・4,700人を対象とした口臭ケアに関する意識調査と、首都圏214人を対象とした口臭測定調査を行い、その調査結果をもとに『口臭白書2019』を編さん。日本人の口臭ケアの現状と課題についてまとめました。

出典: 口臭白書2019
若林 健史
日本大学客員教授、日本歯周病学会理事・専門医・指導医、日本臨床歯周病学会・認定医・指導医。医療法人社団真健会(若林歯科医院、オーラルケアクリニック青山)理事長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演。https://wdental.jp/
実は女性の方が危険! 口臭リスクをもたらすわけ
『口臭白書2019』調査によると、口臭測定スコアにおいて基準値(口臭測定スコア50)をオーバーした人の割合が、男性8.3%に対し、女性は17.9%と、女性の方が2倍以上の割合に上りました(図1)。

出典: 口臭白書2019
性年代別に見ると(図2)の通り、「中高齢層の男性」9.3%に対し、「若年層の女性」11.5%となり、「中高年の男性より若い女性の方が『口臭がニオう』」という意外な事実が明らかとなりました。
また、より口臭スコアが深刻なのは、40~60代の「中高齢層の女性」であり、基準値を超えた人の割合は24.1%と圧倒的に多く、約4人に1人が基準値オーバーという結果になりました。
女性は「人生で3度、口臭リスクが高まる」
「女性の口臭が深刻な事態」この原因について、歯科医師の若林健史氏は「口臭の原因である歯周病のリスクが、男性に比べ女性の方が高い」という点を指摘します。

出典: 口臭白書2019

出典: 口臭白書2019
「口臭には一時的に臭いが発生する『生理的口臭』と、主に口腔内の疾患や汚れに端を発する『病的口臭』がありますが、この病的口臭の原因となる歯周病は、女性ホルモンの分泌量の変化が、口腔内の血液循環やプラーク中の細菌に影響を与える関係で、女性の方がより罹患(りかん)リスクが高いのです。特に①:思春期 ②:妊娠・出産期 ③:更年期の3つのタイミングで高まりやすいとされています。今回、女性の方が口臭基準値をオーバーした人が多かったのも、この“女性特有の”歯周病リスクと少なからず関係しているのではないでしょうか」
仕事に家事、子育てと男性以上に日々の用事に追われ、心身の状態を気づかう余裕もなかなか持ちにくい女性。健康はもちろんのこと、対人関係にも大きな影響を及ぼす「口臭」についても、実は男性以上に、一層適切なケアが求められるといえるでしょう。
口臭は、自分だけでは治せない。さわやかな息は、定期的な歯科通院から
多くの人が気になる口臭ですが、歯科医や歯科衛生士の診察・指導を受けている人は極めて少ないのが現状だそう。
今回の口臭ケア意識調査では、日常的に行っている口臭ケアに関して「歯科医の診察を受ける」と回答した人は、全体のわずか5.1%にとどまりました。多くの人々にとって「口臭=自分でケアするもの」であることがうかがえます。
口臭にはいくつかの種類がありますが、大きくは「生理的口臭」と「病的口臭」の2種類に分類することができるそうです。このうち、主に歯周病など口腔内トラブルが原因で発生する病的口臭は、自己流のセルフケアだけでは解消できず、歯科医に通院して治療を受けることが必要といわれています。

出典: 口臭白書2019
若林氏によると、歯周病の有無を問わず、できれば3ヶ月に1回程度のペースで歯医者さんに通うことが、理想的な口臭ケアであるといいます。

出典: 口臭白書2019
「もちろん、いま現在歯周病にお困りの方は、その治療に取り組まないと口臭は絶対に治らないですし、いまは目立った口腔内トラブルがないという人も、定期的な通院によって歯をクリーニングしたり、歯科衛生士からケアに関する指導を受け ていただきたいと思います」
病的口臭の発端となるのは、歯磨きの際の「磨き残し」が原因で生じる歯垢です。“磨き残しゼロ”を目指して、時間をかけて丁寧に磨きたいものですが、 どれだけ上手に歯を磨いている人でも2割程度は 磨き残しが生じるといわれています。
「歯を磨く際の癖や骨格・歯並びによって、十分に磨ききれない部分が生じます。いくら時間や回数を増やして熱心なセルフケア を行っても、一歩間違えた方法でケアしてしまうと口臭リスクは低減しません。そのため、歯科衛生士の指導のもと、ご自身の歯磨 きの癖や課題を把握することが有効となるのです」(若林氏)
いかがでしたか? 綺麗な歯は良い印象を与えることもできますよね。定期的な歯科検診について、見直すきっかけにしてみてくださいね!

出典: 口臭白書2019
【参考】