「頑張ったね」「次頑張ろう」はNG!産業医が教える、部下の心を動かす“魔法の言葉”

部下のやる気を引き出すのは、上司が担うマネジメントの1つといえるでしょう。いったいどのような言葉を掛ければ、部下がより意欲的に仕事に取り組めるのでしょうか。

産業医として毎月40以上の企業を回っている井上智介先生が、部下の悩みを聞くうちに分かった、やる気の本質や、ケース別で掛けたい言葉について聞いてみました。

部下にやる気を出させるために気を付けるべきポイント

画像:Jake Images/PIXTA(ピクスタ)

——そもそも人がやる気が出る心理状態はどんな状態でしょうか?

私の意見では、やる気が出るときの心理状態は、“自己効力感”を感じているときです。これは「まぁ、何とか自分ならできそうだな」と思える感覚と考えてください。

ただ、私からすれば、常にそのような感覚を持って仕事ができる人は多くないと考えています。なので、「できるかな……」「失敗しそうだな……」といったネガティブな気持ちを解消してくれる上司が、やる気を出させてくれる上司なのだと思います。

——他者の言葉や行動が、自分のモチベーションにつながることはよくあることなのでしょうか?

他者の言葉や行動がモチベーションにつながることはよくあります。

私たちは言葉を介して、自分の気持ちや考えを伝えています。例えば、名言などによって気持ちを切り替えて、「また、頑張ろう」と思えたり「そんな自分でもいいんだ!」と自分を肯定できたりした経験が皆さんもあるのではないでしょうか?

だからこそ、どのような場面で、どのような言葉を発したらよいかを分かる人は、いい上司になりえるのです。

——上司が部下にさらにやる気を出させるためには、どういったことに気を付ければいいのでしょうか?

部下にやる気を出してもらうためには、部下の心の奥にある周りに貢献したいという欲求や、認められたいという欲求を上手に引き出すことが大切です。

もし失敗しても上司である自分がカバーするという心理的な安全保障をしたうえで、勇気を出して一歩前に踏み出せるようにそっと背中を押してあげましょう。

ケース別!部下に掛ける魔法の言葉

画像:jessie/PIXTA(ピクスタ)

(1)部下が失敗して元気がないとき

——部下がプレゼンで失敗して元気を無くしています。前向きになってくれるためにどのような言葉掛けが必要でしょうか?

失敗から学んで、次の成功の要因を一緒に探すように心がけましょう。

過去よりも未来を見せることが大事なので「次頑張ろう!」や「またやってみよう」などの曖昧な励ましではなく、「プレゼン中に質問されて分からなくても、パニックにならずに“また後日調べて返します”と伝えよう」といった、部下の実力に沿った具体的かつ現実的なゴールを意識させる言葉掛けが必要です。

(2)部下に仕事を任せるとき

——部下に新たな仕事を任せようと思っています。どのような言葉を掛ければやる気を引き出せるのでしょうか?

部下に仕事を任せるときは、部下の「失敗するかも……」という不安や恐怖を汲み取ったうえで声掛けをするのが大切です。

そのとき「フォローするから、いつでも相談して」と伝えることで、いざとなればSOSを出すことができる安心感によってやる気につながるでしょう。そして、成功体験を少しずつ積み重ねていくことで、部下はさらに意欲を持って仕事に取り組めます。

(3)部下が仕事で成果を出したとき

——部下が仕事で成果を出してくれました。どのような誉め言葉が、さらなるやる気につながるのでしょうか?

仕事で成果が出たときは、具体的に良かったポイントを褒めましょう。

「頑張ったね」とか「がむしゃらにやってたね」のような抽象的な伝え方ではなく「いつも、フットワークが軽く、お客さんとスムーズに連携がとれていたよね」や「お客さんのニーズを聞き出すのが早くて、希望とマッチさせることが上手だったよ」といった言葉の方がよりやる気を引き出せます。

さらに、「そのスキルや成功の秘訣をみんなにシェアしてよ」などと存在の承認をし、またチームに貢献したいと思ってくれるような声掛けを意識しましょう。

【関連記事】部下の「やる気」が出る条件とは?上司が覚えておきたい大切なポイント

今回は部下のやる気を引き出すために気を付けたいことや言葉掛けをご紹介しました。ちょっとした工夫をするだけで部下の行動が変わるものなんですね。ぜひ皆さんも参考にしてみてはいかがでしょうか。

<プロフィール>
井上智介
島根大学医学部を卒業後に、産業医・精神科医・健診医の3つの役割で大阪で活動中。さらに、ブログ『たたかう産業医』やSNSでも積極的に、分かりやすい医学の内容を発信し続けている。また、『ストレス社会で「考えなくていいこと」リスト(KADOKAWA)』をはじめとした3冊の書籍もある。

【SNS】Twitter:@tatakau_sangyoi

画像:井上智介

【画像・参考】
※mits/Jake Images/jessie/PIXTA(ピクスタ)

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