チームの仕事がスムーズに回るためには1人1人の働きぶりが肝心。部下が活き活きと働けるチームの上司は、いったい何を心がけているのでしょうか?
産業医として毎月40以上の企業を回っている井上智介先生が、部下の悩みを聞くうちにわかった、やる気を引き出すのが上手い上司の共通点をご紹介します。
やる気を引き出せる上司…医師が見抜いた3つの“共通点”とは

——部下にやる気を出させる上司の“共通点”としてはどのようなものがありますか?
まずは、部下のキャラクターを把握している点です。
書籍や誰かからの受け売りの言葉をそのまま伝えるのではなく、やさしく伝えるのがいいのか、はたまた直球で熱い思いを伝えるのがいいのかなど、部下のキャラクターに合わせて柔軟に対応できる人は部下のやる気を出させることが上手ですね。
——それぞれの個性に合わせたコミュニケーションスタイルが大事なのですね。ほかにも共通点はありますか?
1つ目に関連していますが、本人の性格を理解している点です。
たまに、やる気を出すために明るく元気に振る舞うことを強要してしまう上司がいますが、すべての人にとってそのような振る舞いが合うとは限りません。
部下の持つ本来の性格を受け入れて「クールに見えるけど、熱い気持ち持っているね」や「必要なときにズバッと意見をいうよね」のような声掛けをすることが、部下としては「見てくれているんだ」という気持ちになってやる気につながります。
——性格同様、能力も十人十色だと思います。具体的な業務において、“デキる”上司はどのように部下のやる気を引き出しているのでしょうか?
そのような上司の共通点として、結果ではなく“プロセス”を評価しています。
どんな結果であっても本人なりに頑張ったのは事実であり、「企画書を何度も練り直して通るまで頑張っていた」や「いつもありがとね」などと本人の努力を認めるのも大事。
さらに、次のステップに進むにあたって「一緒に頑張ろう」と寄り添う姿勢を見せる心がけも必要ですね。
明日からでも実践できるメソッドも

——上記の3つは長期的に取り組むことが必要だと思います。一方、明日からすぐに実践できるテクニックはありますか?
部下に質問するとき、未来形で質問するテクニックがあります。
例えば、仕事の進捗具合を確認する際「どこまで進んでいる?」といった現在形で声掛けをすると、部下からすれば監視や評価されている気分になり心地良くありません。
一方で、「今日はどこまで進みそう?」というように未来形で質問すれば、「応援するよ」や「途中でつまずいたら教えて」といったニュアンスを含めて質問することができるでしょう。
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今回は部下のやる気を引き出すのが上手い上司の共通点をご紹介しました。短期的なテクニックについては、部下の仕事が見えないテレワークでも使えそうですね。ぜひ参考にしてみてください。
<プロフィール>
井上智介
島根大学医学部を卒業後に、産業医・精神科医・健診医の3つの役割で大阪で活動中。さらに、ブログ『たたかう産業医』やSNSでも積極的に、分かりやすい医学の内容を発信し続けている。また、『ストレス社会で「考えなくていいこと」リスト(KADOKAWA)』をはじめとした3冊の書籍もある。【SNS】Twitter:@tatakau_sangyoi
画像:井上智介
【画像・参考】
※kikuo/Kazpon/jessie/PIXTA(ピクスタ)