最近、女優の深田恭子さんが「適応障害のために活動休止する」ことを、所属事務所を通じて発表しましたが、“適応障害”とはどういった症状なのでしょうか?
適応障害の症状や対処法、適応障害と鬱病との違いなどについて、精神科医のSidow先生に話を伺いました。
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適応障害と鬱の違いはどこにある?

——適応障害と鬱の違いについて教えて下さい。
適応障害と鬱病は、症状が似ていてよく間違えられがちですが、この2つの違いは“明確なストレス要因の有無”です。
適応障害には明確なストレス要因があるといわれています。その人にとってストレスを感じる環境にいたことで体調を崩してしまったり、精神的に不安定になった場合に引き起こされます。
それに対して、鬱病は明確なストレスが見当たらない場合も多いです。症状としては、1つのことをマイナスにとらえすぎてしまったり、悲観的に考えて精神的に追い込まれてしまうことがあります。鬱病になりやすい性格としては、完璧主義、周囲の評価や他人を気にする、周りの空気を読みすぎる、などが挙げられます。
——女子プロテニス選手の大坂なおみさんもSNSで自ら“depression”に苦しんでいたと公表しましたが、鬱病ということなのでしょうか?
“depression”という言葉の定義は広く、鬱病だけでなく、鬱っぽい状態も鬱状態も指すため判断が難しいです。ただ、成果を出しつづけないといけないアスリートは、プレッシャーがかかりやすいことから鬱病などの精神疾患に関わる可能性は高い傾向にあると考えられるでしょう。
症状が起きやすい時期や治療法の違いは?

——これらの症状が起きやすい時期や治療法の違いはありますか?
適応障害は環境が変わるタイミングで症状が起こりやすいです。それゆえ、誰にでも起こりうる病気といえるでしょう。ただ、原因となるストレスから離れることで回復する可能性が比較的高く、ストレスから離れられるのであれば、薬を使わない場合も多いです。ただ、一度ストレスとなる原因から離れて回復しても、またストレスとなる環境に戻ると再発する可能性もあるので注意が必要です。
一方、鬱病は性格の傾向に影響を受けやすいといわれています。 場合によっては抗鬱薬を飲みつづけないといけず、回復にも時間がかかることが多いです。
ストレスによる“緊張状態”が長く続くと…!?
——適応障害や鬱病のせいで免疫力が下がったりしますか?
ストレスがかかると、ホルモンの乱れや、自律神経の乱れなどが起きて、カラダが本来の機能を保てなくなることにも繋がります。さらに、ストレスによって“緊張状態”が長く続くと、カラダが疲れやすくなったり免疫力が低下したりする恐れがあります。
これらのことが複合的に絡み合って、カラダの不調にもつながることも考えられます。
——ストレスやプレッシャーがかかったときの対処法はありますか?
まずはストレスから離れることです。職場がストレスなら仕事を休むことをおすすめしますし、人間関係が原因ならその人から距離を置くなどして原因から離れることを推奨しています。
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いかがでしたか? 新しい環境の変化などで少しでもストレスを感じたら、ストレスから離れることがおすすめです。ぜひ今回の内容を参考にしてみてください。
※本サイトにおける医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。
<プロフィール>
Sidow
精神科専門医。SNSを通して心理に関するトピックを発信しており、YouTubeチャンネル『メンタルドクターSidow』も運営している。7万人のチャンネル登録者数を抱え(2021年6月時点)、『YouTube NextUp 2019』の代表にも選抜された。
【SNS】Twitter:@dr_sidow
【参考・画像】
※Ushico・ Pangaea・PanKR/PIXTA(ピクスタ)