飲み会もめっきり減っていると思われる今、飲酒量が少なくなった人もいるでしょう。自身の健康を見つめ直し、この機会に禁酒しようかと考えている人もいるのではないかと思います。
そこで今回は、禁酒を始めて1年近く経つという精神科医の益田裕介先生に、禁酒による肝臓へのメリットや方法論などを医学的に解説してもらいました!
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- 飲酒が肝臓の働きを奪う!?
(1)飲酒の量が増えれば増えるほど肝臓への負担が増す
(2)禁酒によって肝臓は回復する可能性がある- 禁酒は何がいいの?飲まないためにやりたい2つのこと
(3)1週間程度の禁酒でもメリットがあるはず
飲酒が肝臓の働きを奪う!?

(1)飲酒の量が増えれば増えるほど肝臓への負担が増す
——そもそもお酒は肝臓にどのような作用を及ぼしますか?
肝臓は糖分の代謝をしたり、たんぱく質や毒物を代謝・分解したりするなど幅広い役割を果たしているといわれています。飲酒をした場合は、肝臓ではアルコールの分解も行われます。
ただ、飲酒の量が多くなればなるほど、肝臓の負担が増えてしまって、肝臓が本来行うべき役割が十分に果たせないことが考えられるでしょう。
(2)禁酒によって肝臓は回復する可能性がある
——禁酒によって、ダメージを受けた肝臓は回復するものなのでしょうか?
肝臓は再生力が高い臓器といわれているので、基本的には回復していくものと考えます。また、肝臓は少し切除しても元の大きさに戻るくらい再生力が高いといわれています。
——肝硬変になるとダメージは回復しにくくなりますか?
肝硬変のような慢性的な炎症になると、回復しにくい場合もあるでしょう。個人差もありますが、毎日結構な量のお酒を何十年と飲んでいたり、潰れるくらいまで飲むのが習慣になっていたりする方は、慢性的な炎症を引き起こしやすいと考えます。
また、肝硬変になっているのか脂肪肝になっているのかは、エコーなどで検査しないと判断しづらいので、心配な方は診察を受けることをすすめます。
禁酒は何がいいの?飲まないためにやりたい2つのこと

(3)1週間程度の禁酒でもメリットがあるはず
——1週間ほどの禁酒でも肝臓にはメリットがありますか?
1週間くらいの禁酒でも、肝臓にはメリットはあると考えます。週に1~2日くらいの休肝日を設定するだけでもいいでしょう。
——禁酒を始めるに当たって、まず始めたほうがいいことはありますか?
まずは、お酒との接触機会を減らすのがおすすめです。例えば、お酒が出てくるテレビやYouTube番組は観ないようにするのがいいでしょう。観ると飲みたい欲求が出やすく、その場ではなくとも時間をおいて飲みたくなってしまう可能性があります。
個人的にはノンアルコールビールを飲むのはおすすめしません。ノンアルコールビールを飲むと、ビールを飲んだときの報酬系に作用する可能性があると考えます。禁酒をしたいなら、その報酬系を忘れさせる必要があるでしょうから、まずはお酒から距離をおくことから始めましょう。
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いかがでしたか? お酒を控えようとしている人は、まず週1~2程度の休肝日を作ることから始めてもよさそうですね。ぜひ参考にしてみてください。
※本サイトにおける医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。
<プロフィール>
益田裕介
早稲田メンタルクリニック・院長。防衛医大卒業後、防衛医大病院や埼玉県立精神神経医療センターなどを経て開業。精神保健指定医、精神科専門医・指導医として“対話”を重視した治療を追求し、YouTubeチャンネル『精神科医がこころの病気を解説するCh』でもメンタルの不安に寄り添った情報を発信している。
Twitter:@wasedamental
YouTube:『精神科医がこころの病気を解説するCh』
【画像・参考】
※Pormezz・oneinchpunch/shuttestock